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「GQuuuuuuX」鶴巻和哉監督や榎戸洋司が明かす、あの変身やラスボスデザインの秘話

2025/6/30 21:06

劇場アニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-」再上映記念舞台挨拶が去る6月28日に東京・TOHOシネマズ新宿で開催され、鶴巻和哉監督、脚本・シリーズ構成の榎戸洋司、アマテ・ユズリハ役の黒沢ともよが登壇した。

「フリクリ」を制作していた時期からあった、リメイクのアイデア

現在再上映が行われている「機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-」。TVアニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」も最終回を迎えたばかりと、余韻が残る中での舞台挨拶には、会場だけでなく生中継が行われた全国の映画館にも多くのファンが集まった。米津玄師が手がけた主題歌「Plazma」の歌詞に合わせ、飛び出すようにスクリーン前に姿を現した黒沢。観客に向け「みなさんの目が“キラキラ”していて」と、ファンの熱量を「GQuuuuuuX」風に表現した。

最終回を終えた感想が尋ねられると、黒沢は「長い制作期間だったので、最終回が終わって安堵感があります」、榎戸は「最終回を放送できてホッとしています」と揃って率直な心境を述べた。鶴巻監督はまず「2018年に制作がスタートしてから足掛け7年、実質的には5年、僕のわがままに付き合っていただき、ありがとうございました」とスタッフに言葉を贈る。そして視聴者に対しても、「ガンダムファンからどう思われるのかなという不安はありました。でも、『Beginning』公開から半年、温かく応援していただいて、制作のモチベーションになりました」と思いを伝えた。

「機動戦士ガンダム」や「機動戦士Ζ(ゼータ)ガンダム」をはじめ、登場したメカ・キャラクターのセレクトについての話題になると、鶴巻監督は「リメイクをするならシャリア・ブルを出したいよね、『機動戦士ガンダム』小説版のシャリア・ブルいいよね、という話を、榎戸さんと『フリクリ』を作っていた時期からしていました」と回想。榎戸は、「鶴巻監督との会話でシャリアが主要キャラになるのは“なるほどね”と(笑)。一方で、僕が(デザイナー・イラストレーターの)出渕裕さんと飲んでいたときもシャリアの話をしていたみたい」と、自身のシャリアへの思い入れを感じさせるエピソードを明かした。

マチュの成長を描くために登場した女性キャラたち

榎戸はマチュの成長物語として「GQuuuuuuX」を描くために、年上の女性キャラクターを登場させたという。ニャアン、アンキー、シイコ・スガイなど、マチュがこれまでの生活で決して出会わなかった人たちの関係性から成長していくことを意図していたのだそう。そしてその成長の決定打となる女性として選ばれたのが「ララァ・スンだった」と話す。ララァのアイデアが出る前は、「機動戦士ガンダム」に登場したランバ・ラルとクラウレ・ハモンにフィーチャーしたプラン、ミハル・ラトキエとカイ・シデン、マチルダ・アジャンとウッディ・マルデンの関係性を見せるプランなどもあったと裏話を披露。制作チームの熱と勢いがあったからこそ、そこまで振り切れたのでは、と作業を振り返った。鶴巻監督は榎戸のコメントに補足する形で「SNSで弊社社長(庵野秀明)が、ララァが登場する第9話に(別プロットがあったと示唆する)コメントを出していましたが、そのネタバラシです」と付け足す。

ゲルググが好きだという鶴巻監督は、「GQuuuuuuX」への登場について「好きなモビルスーツの名前としてゲルググを出していたので、最終話でなんとか(『機動戦士ガンダム』の)ゲルググを出すことができてよかったです」と満足気なコメント。さらに「ただ、最終話ではビーム・ナギナタのビームの色が、本来の設定色である黄色ですべて上がってきていて、それは(劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』に合わせて)水色にリテイクしました」とこだわりも見せた。

その後ヅダ、ビグ・ザムなどのシャア専用カラーが登場したことに話題がおよぶと、鶴巻監督は「シャアが経験した世界をワンカットで説明しなきゃいけないときに、モビルスーツで紹介するのがいいと思った。僕個人としてはシャア専用ビグ・ザムを見たかったし、(『機動戦士ガンダム MS IGLOO』に登場する)ヅダなどは、自分の中のオタク魂が出てしまったのかなと(笑)」と説明した。

アフレコ現場の様子を聞かれた黒沢は、台本が上がってくるたびに現場が混乱していたと言い「ガンダムシリーズに詳しい先輩たちがニコニコしながら『どうなってんだよー』と現場に入ってくることもあれば、『何が? どういう? どうなっていて?』と悩む若いキャストたちもいました」と振り返る。鶴巻監督や音響監督・山田陽のディレクションはあえて明確には行われず、自分で考えながら演じたのだとか。鶴巻監督はマチュの演技について「目的に向かって一直線に進んでいくのは大人の考えで、昨日と言っていることや、やっていることが変わって台無しにしてしまうようなこともあるかもしれないなと思っています。なので、マチュはある種分裂しているというか、第1話のマチュと第5話のマチュではそれくらい違うし、それを黒沢さんの中で成立させてもらえれば、という思いだった」とコメント。それを受けた黒沢は「2年前に聞きたかった!(笑)」と驚きつつ、「普段だったらこの感じで演じたいなという階段の踏み方よりも、一段上か下をやればOKが出るんです。自分が飲み下せる、一歩外側を演じる意識でしたね」とアフレコ当時に思いを巡らせた。

榎戸が鶴巻監督や音響監督から聞いた話として「『マチュは黒沢さんで本当によかったー』と言っていましたよ」と黒沢に伝えると、黒沢は感慨深い表情に。黒沢にとっては難易度が高い部分もあったそうで、「アフレコ中は『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイの気持ちでした。『親父にもぶたれたことないのに!』というか(笑)。わかんないよー!となりながら走り続けていましたね」と吐露しつつ、「でもすごく楽しかったので、また鶴巻さんに挑める日が来るといいな」と意気込みを見せた。

次々と飛び出す最終話の制作エピソード

鶴巻監督はお気に入りのシーンを「第1話で、マチュが神社のシーンで階段を登っているところがあるけれど、階段の上にカメラがあるシチュエーションが好き」だと言う。大好きな作品に影響を受けたものだそうで、「エグザベとシャリアの軍警ビルでの階段のシーンや、最終話でアルテイシアが上る階段シーンが好き」と続けた。榎戸は第11話のシャアの変身について言及。「鶴巻監督から連絡があって、赤いガンダムに乗るシャアは、マスクを付けた士官姿にしたいと。ただ、着替えはさせたくないと言われたので、『変身すればいいんじゃないの』と伝えました」とやりとりを明かす。

最終話のRX-78-2ガンダムの巨大化についても、榎戸が「最終的に白いガンダムがラスボスになる話は決まっていました。ガンダムをどうしたら脅威として見せられるか、というアイデアの中で、分身する案もありましたが、『聖戦士ダンバイン』で言うところのハイパー化(巨大化)しか思いつかなかった」と話す。鶴巻監督も「ガンダムシリーズではやってはいけない表現かもしれないけれど、富野(由悠季)監督のロボットアニメの文脈で見ればアリかなと。あの巨大化するときのスパークは、ハイパー化のときの表現を現代的にやってほしいとスタッフに依頼したら、あの形になりました」と解説した。

最後の挨拶では黒沢が「いろんな方々の愛情たっぷりな作品なので、何度も何度も観ていただいて、これからも作品に関するあれこれを話し合ってもらえればうれしいです」 とメッセージを送る。榎戸は「作り終えたので、あとの評価はもう観ていただいた方に任せるしかないのですが、とりあえず全12本、作りたかったものを作りたいように作れたな、という実感だけはあります。それは本当にホッとしています」と達成感を感じさせるコメントを寄せた。続く鶴巻監督が「『Beginning』の再上映のおかげで、興収が35億を突破したそうです」と報告すると、観客から大きな拍手が。鶴巻監督は拍手を受けながら感謝の言葉を述べ、「TVシリーズは構成上の関係で時系列が飛んだり戻ったりするのですが、今日観ていただいた『Beginning』は、時系列通り素直に直結していて、わかりやすく、観やすい作品になっているので、また観に来てもらえるとうれしいです」とアピールし、舞台挨拶を締めくくった。

(c)創通・サンライズ<英語表示>©SOTSU・SUNRISE

(コミックナタリー)
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