夏目げんり「夜鐘のキト」1巻が、本日8月12日に発売。単行本には、雑誌掲載時から1巻分全ページを描き直したバージョンが収録された。
週刊少年マガジン(講談社)で連載中の「夜鐘のキト」は、“嫌われ者”の魔法使いたちが、奇跡を探しにいく冒険物語。無法者たちが集う廃墟街で暮らす魔法使いのロアンは、サーカス団で奴隷以下の暮らしを強いられていた。異端者として忌み嫌われていたロアンは、ある日、同じ“魔法使い”のキトと出会う。悪名高い私刑団「夜鐘(やしょう)」の一員であるキトとの出会いをきっかけに、ロアンは魔法使いとして成長していく。
単行本化にあたって全ページ描き下ろしをした理由について、夏目は「1話公開時に多くの方から『読みづらい』というお言葉を頂戴して、自分の至らなさを痛感し、本当に申し訳ない気持ちになりました」「ここで折れるのはあまりにも不義理だと感じて、無理を言って1巻内の全ての描き直しをお願いしました」と説明。また「いただいた嬉しいことの全てにお返ししていくために、努力と研鑽を続けたいと思っています」と今後の意気込みを語った。
夏目げんりコメント
1話公開時に多くの方から「読みづらい」というお言葉を頂戴して、自分の至らなさを痛感し、本当に申し訳ない気持ちになりました。プロという肩書で漫画を描く立場にありながら、情けないことに心が折れそうになってしまいました。
ですが、頂いたコメントの中には物語を楽しんでくださっているお声も沢山あり、ここで折れるのはあまりにも不義理だと感じて、無理を言って1巻内の全ての描き直しをお願いしました。連載に穴を空けないという約束の下、許可をいただいた次第です。まだまだ拙い原稿とは思いますが、読みやすくなってと、祈りながら描きました。原稿を差し替えることには、お手間もお金もかかると存じます。この場をお借りして、改めて関係各所に御礼を申し上げます。
役者や納棺師など色んな仕事を経験してきた中で、趣味で描いていた絵に「あなたのオリジナルの作品が読んでみたい」とお手紙をいただき、漫画を描き始めました。
お手紙をいただいた時も、読み切りや連載が決まった時も、担当さんと物語を作った時も、デザイナーさんが作っていただいたロゴも、作品にいただいたコメントも、アシスタントさんたちをはじめ多くの方がこの作品に関わってくださっていることも、「夜鐘のキト」の世界とキャラクターたちが生まれたことも。私にとっては人生で起こった最高の奇跡です。
いただいた嬉しいことの全てにお返ししていくために、努力と研鑽を続けたいと思っています。一介の新人漫画家のこんなに長い文章をお読みいただき、誠にありがとうございました。
担当編集コメント
夏目さんが倒れるのではないかと心配でした。他の先生は真似しないでください!
(コミックナタリー)