チョコレートのようにあまあまなカップルだった秀緒さんと赤星くん。ながーい付き合いを経て愛情を深めていったふたりですが、その先に待ち受けていたのは生活のすれ違いで……。社会人になり一緒に過ごす時間が減ってくるにつれて、互いの愛を信じられなくなってしまう姿にもう胸が痛みまくり！ 大事に想っているからこそ手を離そうとしてしまう秀緒さん、そんな彼に寂しさを募らせる赤星くんが切なすぎます。そのもどかしさは水中で溺れているような息苦しさ……。リアルなすれ違い、そして心理描写に我がことのように苦しくなってしまいました。「どうかもう一度手を掴んで、そして離さないで！」と読んでいる途中、何度叫んだか分かりません。深い水底に沈んでいく赤星くんを秀緒さんは救うことができるのか。共に歩む未来を選択できるのか。純度120％、透明感満載の切なすぎる遠恋の行方から最後まで目が離せません！ その分読了後には温かい愛が頬を伝うはず。
キュンとする彼らのその後は、ぜひ続編『パラダイス・ビュー』でもお楽しみくださいね♪

▼長続きの秘訣
すれ違いが重なって苦しくなったとき、しっかり態度と言葉で伝えられた！

＜あらすじ＞ バイトで塾の講師をしている大学生の菊地秀緒は、友人の世良から男の恋人を紹介される。相手は塾で成績トップの赤星智沙だった。きれいでクールな赤星が世良に向ける、かわいい笑顔や一途な恋心を知るたび、菊地の中で赤星に対する愛しさが募っていく。そんな中、世良が浮気していることを知ってしまい……。

仕事が忙しすぎて家に何日も帰ってこれない...。たまに帰ってきても最愛の人はすぐに寝てしまう。
物理的な遠距離よりも実はこっちのほうがつらいんじゃないでしょうか。労いの言葉ひとつもかけてよー、と一度でも思った人がマジ癒やされます。
生かさず殺さず思いだしたように最低限のやさしさを見せる関白亭主・美人ディレクターの矢野。
そしてそんな矢野に苦労させられっぱなしの恋女房・ワンコAD宮坂はまさにそんな関係。
『東京心中』はシリーズをとおしてADの過酷な環境を物語るお仕事漫画にもなっています。
当初は宮坂の一方通行かと思われた関係も、巻を追うごとにラブ度が増していきます。第3巻では同棲にまで進展しますが、そんな矢先に大好きな矢野さんがなんと転勤......！？
ふたりの遠距離恋愛を語る上での切ないポイントが、恋人である前に上司と部下であるというところ。寂しさをこらえられない宮坂に対し、部下として自立するように矢野は喝を入れるのです。寂しい、けれど矢野さんのように立派な仕事人になりたいと奮闘する宮坂がなんと健気なこと......。尊敬する先輩が恋人だからこそのつらい葛藤ですね......。でもそんな宮坂を優しく受け止める矢野の男らしさにシビれること必至！
高い障壁も海のように大きな愛で乗り越えていく、そんな彼らの成長に心打たれるシリーズ作。切なくも炭酸みたいな爽やかさ漂う物理的でない遠距離カップルをどうぞ！

▼長続きの秘訣
基本は塩対応だけど、たまに優しいからご褒美感アップ！

＜あらすじ＞ ＴＶ業界に入りたての新米AD、宮坂絢（みやさか けん）は厳しい先輩ディレクター、矢野聖司（やの せいじ）の下で働くことになる。現場は厳しく、悪態と暴言は当たり前、こき使われた挙げ句に辞めることを考えるが、ある日、映画の話をする矢野が見せた笑顔にふと魅せられて…。新人AD(年下ワンコ攻) × 先輩上司（美人オッサン受） の３歩進んで２歩下がる、テレビ業界ワーキング・ラブ、始まりの巻！

タイトルのように上司と部下のお話。なんですが......普通のリーマンBLではございません!! 紆余曲折を経て深まってゆくふたりの愛を存分に楽しめる素晴らしいシリーズです。
「ゲイだから、ノンケだから」と関係にストップをかけていた上司の徳永。「これって好きか嫌いかそれだけの話でしょ」と軽く飛び越えてしまう部下の高梨。お互いの欠けた何かを埋め合うような関係が読んでいて非常に心地よく......。テンポのいいやりとり、軽口に喧嘩と、柔らかくも緩急のついた展開に、あっという間に読了していました！ また、仕事面の描写がしっかり描かれているのも本作品の魅力。契約が取れたら名前呼びしていい、なんて条件ほっこりしちゃいますよね♪
シリーズの最終巻は、転勤による遠距離恋愛を描いているのですが、離れて過ごすうちに出てくる不安やすれ違いが本当にもどかしく苦しく切ない......!! 一緒に起きて、仕事して、ごはんを食べて、寝て......そんな日常に散らばった恋と愛がぎゅっと詰まった、心が幸せになる作品でした。

▼長続きの秘訣
お互いに「どうしてもこの人と一緒にいたい」という自分のエゴを通した

＜あらすじ＞ 会社の「上司と部下」から「恋人」となり、１年が過ぎた徳永と高梨。高梨の部署異動、別れの危機を乗り越えついに同棲を始めた２人。ところがそんな中、今度は高梨に転勤の話が持ち上がる。遠距離恋愛が始まり、ふたりの気持ちは次第にすれ違い出して…？大切な人だからこそ、彼の未来を、人生を尊重したい。切ない想いが胸を打つ、待望のシリーズ３作目!!

パリピヤリチンと陰キャ(でも夜はクラブのDJ)という全く違う男子ふたり。そんな彼らを繋げたのがテクノイベントでした。クラブのDJという設定が珍しく、どんなストーリーなのかワクワクしながら読んだのですが、スタッ腐がオススメしたいポイントは、心臓に響くような音を感じられる描写です！ オーケストラにもバンドにも共通することですが、音楽は人と人を精神的にも共鳴させる存在だと思います。本作の三条と五十嵐の間にも、音によって結ばれた特別なナニかが赤い糸のように繋がっているように感じました。そんな彼らですが、物語終盤でなんと離れ離れに！？受・五十嵐が本格的にDJの勉強をするために選んだ道ですが、お互いの好きなこと、そしてお互いを大事にする姿は尊いとしか言えません。
ノンケ×ゲイの話なので、ふたりの心の距離と「好き」を自覚するまでが本当にもどかしいのですが、やはりそのもどかしさが堪らなくイイ!!読後には、ぜひ本作のふたりがDJと音響マスターとして共演する日を見たいと願ってしまったスタッ腐でした。

▼長続きの秘訣
音楽という強い絆で結ばれていた！音楽ってやっぱりその人の生き様だったり感性だったり...そういう変えられない何かが惹きつけ合ってると思うんです。

＜あらすじ＞ 田舎じゃセックスしかすることがなくて、学校帰りは合コン三昧のリア充・三条。本当は趣味のテクノの話がしたいけど、まわりに興味ある奴はゼロ!!　「ナマの音楽を感じたい！」と年齢を誤魔化し、ついに一人クラブへ潜入する。カラダを溶かし、下半身に響く――初めて経験する“音”に虜となる三条だったが、そこで目にしたのは同級生・五十嵐がＤＪとしてプレイする姿で...！？

島を舞台に静かにゆったりと育まれる恋模様が非常に心地良く、またひとりステキな作家さんを見つけてしまったとにんまりしたスタッ腐(笑)。
本作では、偶然島を訪れていた写真家(ゲイ)と島の写真館館主(ノンケ)との心の繋がりがこれでもかというほど丁寧に描かれています、距離が近付いたかと思えば逃げられて、けれど逃げた理由が結構ヘビーだったりと、巧みな描写で読み手の心を抉ります。とある理由から「待つこと」に疲れ、自分を押し殺しながら生きてきた朝比奈に平見が告げた「そこ 狭いでしょ」「自分の腕で作った輪っか 窮屈じゃない？」というセリフが非常に印象に残りました......。「果たせない約束」「待つこと」にトラウマを持つ朝比奈が、果たして島外の人間である平見を「待てる」のか。それが読む上でのポイントになるのかなと思います。
キャラクターの感情に「フォーカス」した本作。日常の中にあるちょっとした出来事ひとつひとつがとても温かく思える作品でした。

  ▼長続きの秘訣
不安や心配事よりも「好き」という気持ちを信じ続けた!!

＜あらすじ＞ 若手写真家の平見祐一は、個展のため訪れた島で、写真館の館主・朝比奈純に一目ぼれする。積極的にアプローチを仕掛けるも、ノンケの朝比奈には通じない。しかしある日、朝比奈から過去の話を聞いて、心揺さぶられ、思わず抱きしめてしまい――...近付いて、遠ざけて、それでも離れがたい――胸に迫るせつなくエロスなラブストーリー。

会社の後輩×先輩カップルで遠距離恋愛となると、普通は転勤などを想像するかと思います。が、本作でふたりの距離を引き裂いたのは仕事ではなく、田舎が抱えるリアルな問題だったのです！
親の入院を機に退社を決意した攻・河野と、彼と話をするために田んぼだらけの田舎へやってきた受・長浦。「突然実家へ帰った上に、恋人に相談もなしに退職するとは何事だ！」と、受ちゃんはさぞかしプンスカして大波乱になると思いきや、河野の家族(特に父)や河野自身の思いを聞いて遠距離で頑張ることを決意！ が、それでもやはり不安はついてくるもの。遠距離ならではのすれ違い展開待ったなしか！？いやいや、こちらの長浦さん、なかなかに行動力がありまして、なんと自分自身も移住してしまうのです！ それもひとえに「河野を支えたいから」という愛情が成すもの。なんやかんやと終始ラブラブしているふたりなので、安心して読むことができますよ！

▼長続きの秘訣
恋人を支えたい一心で引っ越してしまった!!

＜あらすじ＞ 「ごめん、今から実家行ってくる」 そう言ってベッドを出た恋人が、しばらく会社を休むと行ったきり戻ってこない。５日経ち、携帯に入った留守電は「会社辞めることにしました」――だと！？話がしたい！と彼の実家に乗り込むが！ いきなりカレシが農家に転職！？遠距離問題！ 「農家の嫁」問題！ いろいろあるけど、好きだから...頑張る。恋に仕事に一直線ｖ 無農薬100％ラブ！ 子持ちやもめ父ちゃん＆大学生のラブも収録ｖ

合宿先の学校でたまたま出会った少年同士。受が携帯電話を持っていないため文通というアナログな手段で交流を深めていくという面白い設定で物語が進みます。
本作で注目して頂きたいのはタイトルにも通じる「成長」です。出会った当初は164㎝しかなかった攻・すばるの背が少しずつ伸びていく過程が何ともたまらん～！ 夏目のちょっとした仕草にドキドキしたり、うっかり暴走しかけた自分にへこんでしまったりと、高校生らしくてとっても眩しいのです......！ せっかく仲良くなったのに、ある出来事から一方的に距離を置いてしまうすばるですが、そんな彼に幻滅することなく手紙を送り続ける夏目の一途さも「尊い」を極めています......。言動のひとつひとつが等身大の高校生そのものなのに、時間の経過とともに確実に成長していく点も見どころです。特に東京へやってきた夏目が、明日帰ってしまうからという理由ですばるを誘うシーンは必見です！
遠距離恋愛ならではの胸キュンと高校生が持つ青さ、本作でどうぞ存分にご堪能ください!!

▼長続きの秘訣
返事が来なくても一方的に連絡を取り続けた!!

＜あらすじ＞ 田舎の高校に合宿でやってきた柏野すばるは、ひとつ年上の図書委員、夏目圭に出会う。早朝の図書室でのひと時、すばるは圭の色素の薄い眼や、雨に濡れた肌が気になってしまう。自分より背の高い、同性の年上相手に不埒な夢を見て動揺する中、合宿が終わり、圭から「手紙を書いてよ」と文通を持ちかけられる。互いに手紙を送り合うふたりだったが──。

大学進学を機に東京・松山間での遠距離恋愛を始めた翔となつめの春夏秋冬を追う形でストーリーが進む本作。とにかく上京した攻・翔の心理描写と人間臭さがスゴい!!久々に会った恋人から「変わってなくて良かった」と言われて悔しさを覚えただけでなく、東京での生活に慣れてきた頃には恋人と過ごす時間に疑問を覚え始めたり......。彼がそのような感情を抱いた理由は皆さま自身に確かめて頂きたいのですが、恋愛だけでなく人間としての成長をも描く手法に唸ってしまうこと間違いなし。都会に染まった翔に「オイオイ！」と思いつつもなぜか切り捨てられないのは、彼自身も苦しみながら必死に生きているからだと思います。本作のふたりはきっちりハッピーエンド！ すれ違いからのラブラブエッチで癒されちゃってくださいね♡
大切なものを離すまいと奮闘する若者たちがドラマティックに描かれている本作、多くの人に読んで頂きたい秀作でした。

▼長続きの秘訣
友人の言葉のおかげで危機を乗り越えられた!!

＜あらすじ＞ 進学をきっかけに自然豊かな町から都会へ。ずっと一緒だった恋人同士が直面する大きな変化。東京に翻弄される攻め×変わっていく恋人に不安を抱く受け。「君が誇れる男になりたい、ただそれだけだった。」繊細な心理描写が響く、蛭塚タウン デビューコミックス。