ウェブライターの右（たすく）は人前に一切出ない天才小説家・獺郷 才の担当をするため挨拶に出向きますが、右の前に現れたのは自称「獺郷 才のゴーストライター」を名乗る謎の美青年・八尋でした。性に奔放らしい八尋に「セックスは名刺交換みたいなもの」と言われ体の関係を持つようになる2人ですが、右も過去に小説家として新人賞を獲るも筆を折っていた過去があり…… 。
救済ものの王道といえば、受攻どちらかの救済がメインになりますが、本作は天才ではなかったがゆえに夢を諦めて筆を折った右と、天才だったがゆえに亡き恩人の影を追い続けている八尋の相互救済の物語です。スタッ腐は救済ものに「貴方に出会わなきゃダメになってた」を強く感じるのですが、本作はそれが相互関係に深く根付いていて……。一見、右が八尋を救済する話のように見えて、実は八尋も右に救われていたという……2人の互いを想う姿の尊さに、眩暈を感じるほどにグッとくる作品です！

＜あらすじ＞
ウェブライターとして働く右は、自社の企画で人前に一切出ない幻の小説家・獺郷 才を担当することに。けれど現場に現れたのは、「獺郷 才のゴーストライター」と名乗る美青年だった。

洗脳、暴力……と狂気渦巻くサスペンス要素満点な本作。兄の遼一に兄弟以上の感情を抱く洋二はある日、遼一の同級生・敦也から兄との秘密の関係を仄めかされます。脅迫から敦也と関係を持ち始める洋二ですが、徐々に兄への想いが揺らいでゆき……。
遼一から施される“お仕置き”と愛情の正体は、洗脳と虐待でした。一方、最初は遼一への恨みから洋二に近づいた敦也も、次第に彼を救いたいと考えるように。洋二を「俺のミューズ」と呼び、崇めるように、慈しむようにその足に口づける場面は何ともロマンティック！ けれど、2人の接近を良しとせず、洋二に執着する遼一。その戦慄のサイコっぷりにどうぞ震撼して下さい……！ そして、敦也の真実の愛により兄の呪縛から解かれた洋二が、敦也を守るために遼一に立ち向かうシーンもまた鳥肌もの！ 予測不能な展開にページを捲る手も加速せずにはいられません！ 長い暗闇に一筋の光が差すような救済が描かれるラストは感動必至です！

＜あらすじ＞
全ては、3年前のあの日から始まった――。兄弟と兄弟に囚われた男の、渇望の物語。

同棲している彼女の浮気現場in自宅に遭遇して家無しになった悟。酔った勢いで浮気相手の男・真叶と一夜を共にし、彼の家で世話になるまでは怒涛の展開！ なのですが、共同生活を始めてからの2人はそれまでのスピードが嘘のようにゆっくりと関係を育んでいきます。
住まいも仕事も何もかもがスパダリすぎる真叶ですが、ふとした瞬間に見せる影のある表情や、過去の交際相手に心を許していなかったような言動を見ると「これは闇の深いヤバい攻めなのでは……」と悟の心配をしてしまいます。ですが、彼がそうなった原因（トラウマ）を知ると「悟と幸せになってくれ～～！！」と願わずにはいられません（真叶、ゴメンね……）。
一方の悟も相手に対して言いたいことがあっても諦めてきたのですが、真叶に対しては諦めずに向き合ったからこそ、真叶の頑なだった心を解すことができたのかな～と思いました！ 全てを打ち明けた後の真叶の告白シーンは必見です！

＜あらすじ＞
帰宅すると、同棲中の彼女と見知らぬ男性の浮気現場に遭遇してしまった悟。急激に彼女への気持ちが冷めていくのを感じ、怒りもせず家を出て行ってしまう。するとなぜか、彼女の浮気相手・真叶が追いかけてきて…!?

大学生の一樹は母がママ活をしていると知り、その理由を探るために相手の圭吾とママ活もどきをすることに。穏やかで気遣いのできる圭吾と過ごす時間がいつしか楽しみになっていた一樹は、ママ活の理由が自分にあると知り、母との仲を取り持ってくれた圭吾の優しさに惹かれ恋に落ちてしまいます。
書影の印象そのままの透明感ある絵柄で、家族関係と自分らしさの間で悩む等身大の感情が丁寧に描かれた本作。本当の自分を受け入れ求めてくれる一樹の優しさに包まれ涙する圭吾の表情に、思わずスタッ腐も 感涙。愛を求めて満たされない日々を過ごしてきた圭吾の未来が、愛に満ちたものになるよう祈らずにはいられません。
エロ描写は控えめながらも、お互いを求め欲情する表情や、結ばれて心から幸せを感じる表情など、繊細な表情描写で胸いっぱいの満足度。恋愛や家族愛の尊い感情を惜しみなく描いていて、優しくも胸に刺さるストーリー展開がお見事。何度も読み返したくなる心に残る一作です。

＜あらすじ＞
母親がママ活をしていると知った高砂一樹は相手の青年・住吉圭吾に会いにいく。きれいな顔とミステリアスな雰囲気の圭吾だったが、予想外にやさしく無邪気な一面もあり、一樹はその人柄に惹かれていく。

ヒトの売り買いが合法な世界……。違法に買われ性玩具として虐待を受けていた翠（スイ）は、名前もない殺し屋に救い出されます。元の飼い主に都合がいいよう従順に躾けられた翠を見かねた殺し屋は、自分の仕事ではないと知りつつ翠の世話をすることにしたのです。
「同じ布団に入るだけ」「褒める」など、何気ない行為を奉仕（セックス）のトリガーとして教え込まれ、首輪や手足の枷は「いるもの」の証拠として絶対外してはならないと躾けられている翠は見ていてものすごく痛々しい……。けれど、殺し屋のお兄さんによる献身的なお世話で少しずつ自分が好きなものや自由を覚えていきます。殺し屋さんもまた、翠と生活することで心に変化が……。最初はお互いの体が反応するので仕方なく……だったセックスから、2人が望んでする行為に変わってからのラブラブえっち具合がたまらなく愛しいのです。
序盤と読後で印象がガラリと変わる、愛すべき一作です！

＜あらすじ＞
ヒトも売り買いされる世界。残された翠は赤毛の殺し屋さんが差しのべた手をつかむ。躾けられたおねだりを隠せなかった翠は、やさしい場所と自由を覚えていく。そして殺し屋さんも―――。

実業家のエリィが孤児だった少年を拾い、スバルと名付けてから10年。スバルの20歳の誕生日を前にウキウキのエリィですが、当のスバルはプレゼントにエリィが欲しいと宣言して……！？
あまーいキスや乳首責めを仕掛けて、誕生日までにエリィを陥落させる気満々なスバル。スパダリ攻めに育ってしまった息子になんとか「父親として」向き合おうとするエリィが、優しく甘やかされ、髪も衣服も乱してトロ顔まで晒してしまうのがチョロかわすぎます！ 豊満ボディパパが快感と背徳感に悶える姿は芸術ですね。思わず自らスバルを求めそうになるものの「父親だから」と最後までは許しません。その思いつめた表情には、どうやら「親子関係」への異様な執着があるようで……。エリィの孤独な過去、つらすぎました……。
エリィの父親っぷりに振り回されながらも頑張るスバルの脱・息子劇を応援しながら、スバルを見守りたいエリィの真意にぼろ泣きする大忙しの一作です。

＜あらすじ＞
片田舎の港町に暮らす父子2人、愛情をもって育ててくれるエリィに、家族として親愛の情を抱くスバル。だが、何時しかその思いは親愛から熱情へと変貌する。

触れた人や動物の心を読めるがゆえに、村人から忌み嫌われ孤独に生きてきた少年アマネと、金髪紅眼の容姿ゆえに、鬼子と呼ばれ一族に厭われた旅の薬師キサラギ。共に異能者である２人が出会い、出会ったことで自らの孤独を実感し、それを埋めるのは互いしかないと確信していく様を穏やかにつづる、吉田実加先生の救済浪漫譚です。
恥じらいながら体を重ねるアマネの初心さがいじらしく、てっきり世慣れたキサラギに翻弄されるのかと思いきや、そんなことはなく！ 何とも優しく誠実に恋心が育っていく様子にホッとします（笑）。途中、狂信的な村人らによってアマネが人身御供として捧げられ、キサラギが異能を発揮する事件があったり、旅先の都会で、内心キサラギに気のあるイケオジ薬種問屋のジンが、い～い味を出すコミカル・ハプニングがあったりはしますが、全体的には優しいトーンに満ちた、幸せな寄り添い愛の物語です。心穏やかな愛に触れたいあなたにオススメです。

＜あらすじ＞
肌に触れると心の声を聞く事ができる力のせいで、幼い頃に村を追われた少年・アマネ。ある日、怪我をしたアマネは、紅い瞳の薬売り・キサラギに助けられる。それは久しぶりに触れる人のぬくもりで…。

過去に傷を抱えた2人が、心を読んで読まれて惹かれ合ってゆく、おとぎ話のような救済ストーリー！
ワケあって休学中の霈生がある日、見知らぬ青年・晴陽から突然プロポーズされるところから始まる本作。はじめこそ魔女の末裔で人の心が読めるという晴陽に戸惑いつつも、素直でまっすぐに愛情をぶつけてくる晴陽に少しずつ心を開いていき……。その名前の通り、温かいひだまりのような晴陽の癒し力が絶大なのです！ 心の内に想像を絶する激重な闇を抱えていた霈生ですが、彼の過去がどんなものでも寄り添おうとする晴陽の包容力に救われます！ 迷子の子供のように晴陽の名前を呼んで泣きじゃくる霈生を晴陽が見つけ出し、抱きしめるシーンではもらい涙不可避！ そして、「心が読める」ならではのエッチすぎる濡れ場も必見です♪ 欲望丸出しな心の声の相乗効果でエロも甘々も最高潮に！
どんなに苦しくても、苦難を乗り越えた先のハピエンこそ至高！ という方にぜひ推したい作品です。

＜あらすじ＞
大学を休学中の雨甲斐 霈生（あまがいひさお）。ベンチですっからかんの財布を眺め途方に暮れていると、見知らぬ男から突然プロポーズを受ける！ 日向 晴陽（ひなたはるひ）と名乗る男はなんと“心が読める”魔女の末裔だという。