nobuoさんがつけた評価
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「地図にない国」ではノネの美しさと色気にグラッときていたシンでしたが、ヤシュムは好みじゃないとかで今回は何もなくて残念だと思った時、自分が勝手に寅さん的なものをシンに重ねていることに気付きました(笑)寅さんみたいに毎回マドンナに振られるっていう話じゃなくて、シンを傍観者として配置することで、その人となりと背景のようなものを読者に伝えているのかなと思いました。今作は3作目の出版が決定事項になった後に描かれているので、ここで3作目への伏線が張られていたりして、本当にニッケ先生は読者を楽しませるのがお上手だなと感じました。
1作目同様、今回も主人公以外のところでラブが展開していくからか、アマルとヤシュムの恋に入り込むことが難しかったけれど、それでも最終話の2人には感動しました。考えすぎて会いに行けずにいたアマルが、ヤシュムを目にした瞬間、身体が勝手に動いてしまうところ。駆け寄って腕に口づけするシーンがとても印象的でした。2人とも相手への愛が深くて大きくて、満たし支え合う感じが共依存のそれとは少し違って、とても心温まるラストでした。
頼まれてもいないのに他国の王子たちの恋のキューピッドをしてきたシン。シリーズ作品を順番に読んでいれば、このシンという男はどのように人を愛するのか、3作目を読む前にめちゃくちゃワクワクしたと思います。私はうっかり3作目を先に読んでしまったのですが、既刊2冊を読み終えて3作目を再読すると、面白さが初読み時と段違いでびっくり!改めてこのシリーズは3冊で1作品として読むように作られているんだなと思いました。今からこのシリーズを読み始めるという方には、全力で「地図にない国」から順番に読んでいかれることをお勧めします。(閉じる)
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