TJKさんがつけた評価
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現代ものファンタジーという感じで、とても斬新な設定に感動しました。普通は生活・慣習・思考など全てが一般社会ありきで、だからこそBLの葛藤や悩み・生き辛さがあって、それらをクローズアップすることでストーリーに厚みや幅が出ると思うのに、そもそもの設定がBLありきの世界(学園という狭い世界ではあるけれど)というのに驚きました。しかも宗教団体が母体の巨大組織とか…内心「ないない。ありえないでしょ」と思っていたのに、あっという間に引き込まれてしまいました。
2・3巻と進むほど人間関係が複雑かつ裏表が出てきて、更に利害関係・上下関係まで加わって、本筋を読み取るのに苦労しました。「誰が?何を?どこまで?知っているのか」細かな描写や何気ない一言を気に留めながらハラハラドキドキ読みました。
大体1巻につき最低でも1つは山場があるし、物凄く作り込まれ、計算され尽くした設定に驚きつつ楽しく読めましたが、始めは「この調子で11冊も走り続けられるのか」心配しました。でも大丈夫です。「毎日が記念日」と、誰かの歌詞にあるような感じで「毎回クライマックス」的にほぼ全巻に絶体絶命の展開があって、どうやって切り抜けるのかハラハラするけど面白いです。
絶体絶命のピンチは、常盤の叔父との対決の辺りまでは何となく解決法も分かったり当たったりしましたが、5巻以降は全く読めなくなりドンドン物語にのめり込んでいきました。最後まで怒涛の勢いで進み、11巻の最後の最後、ラストの一文に目が釘付け…になった所で終わります。ここで放心するのは私だけではないと思います。合冊版も11冊ですし、本当にここで終わりなのでしょうか…気になりすぎて苦しいです。他に番外編のような小冊子がシリーズで出ているので、そちらに答えが書かれていることを信じて読みたいと思います。あと、イラストの彩先生の絵が本当に素敵で、物語のイメージとこれ以上はないくらいマッチしてるなと思いました。
初めての作家さんでしたが、ビックリするくらい面白かったので、もう一つの有名なシリーズ『暴君竜〜』も読んでみたいです。(閉じる)
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